NHKでフィンランドのサペレの様子が紹介されました! 〜だけど、それだけではないサペレメソッドの効果〜

NHKで紹介されたフィンランドにおけるサペレ(Sapere:ラテン語で「知る」「味わう」を意味)の様子で、同国の幼稚園での取り組みの一端を知ることができます。目隠しをしての匂いの嗅ぎ分けゲームの様子、楽しく触れ合って「いろんなものを好きになっていく」様子などがわかりやすく紹介されています。

 

今回のTVプログラムではサペレによる偏食改善効果を中心に紹介されていますが、同国の早期幼児教育・養護(ECEC)で、サペレを使用するのはそれだけの理由ではありません。フィンランドでは食育は、日本で一般に理解されている「食育」より幅広い意味を持っています。このサペレメソッドを利用した「食育」も、当初は幼稚園の先生方も「食育ならケータリング担当の仕事でしょ。私たち幼稚園教員の仕事ではないよね」といった反応だったそうですが、サペレメソッドの持つ教育・養護的意義や効果を理解するにつれ、「このサペレメソッドを使った子どもとの関わりは、幼児教育に責任を持つ私たち幼稚園教員の仕事である」との認識に変わったそうです。

現在は、国の発行した乳幼児版の食事摂取基準には、「サペレメソッドに基づく感覚を重視した食育は、国の早期幼児教育カリキュラムの目標達成に最適の方法である」と記載され、既に人口500万人の同国で7000人以上の幼稚園教員がこのメソッドを使いこなす研修を受講しています。

 

昨年11月の日本栄養士会雑誌の特集で「子どものための味覚教育」がとりあげられ、そこに「子どもの食べる力、学ぶ力、生きる力を伸ばす味覚教育(著者:田尻泉(IDGE(子どものための味覚教育研究会)代表、監修:石井克枝(IDGE)会長)」という論文が掲載されています。この味覚教育は、フランスのピュイゼ博士によって約50年前に生み出された手法(ピュイゼメソッド)をベースにしていますが、サペレメソッドはこのピュイゼ博士の了解を得て、より広範にピュイゼメソッドを活用する目的で各国で育っているもので、源とする考えは一緒です。ですから、フィンランドのサペレもこの論文のタイトルにもあるように、決して「食べる力」だけでなく、ましてや「偏食改善」だけの効果を期待して実施されているのではありません。余談ですが、私たちは「味覚教育」という言葉がどうしても「舌のこえた者を育てる」と矮小化・誤解されやすく感じ、私たちの提供する「食の体験学習」については、「五感をきたえる味の教室」という言葉にしました。

 

教育の先進国としても知られるフィンランドでは、例えば小学校でのフィンランドメソッドなどが有名です。フィンランドメソッドによって子ども達のコミュニケーション力を育てたいとしている時に、小学校就学前にサペレメソッドで食べ物を使ったコミュニケーションの練習をすることが、どれだけ小学校に入学してから役立つかは、フィンランドの幼稚園教員ならすぐに理解することだと思います。このように、food talk(フードトーク)を大切にしている点は見逃してはなりません。

 

NHKで紹介されたフィンランドのユバスキュラの地は、現在、国の栄養審議会事務総長をされているアルヤ・ルーティカイネンさんが、かつて地域の保健センターの栄養士として勤務して、近隣の幼稚園の先生方にサペレ・メソッドを普及した先駆けの地です。訪問した当時の所感を北海道フィンランド協会の会誌AURORAに以前寄稿したものを添付します。